相続開始後の手続の期限について
被相続人死亡により直ちに相続が開始されます。
相続にまつわる手続等の中には期限が定められており、相続開始から早期に処理する必要があるものもあります。
期限が過ぎてしまった場合、罰則が課せられる、権利行使ができなくなるなどの不利益を被る可能性があります。
以下、期限が定められている手続等のうち主要なものをいくつかご紹介いたします。
(1)被相続人死亡を知った日から7日以内(国外で死亡があったときは、その事実を知った日から3カ月以内)
死亡届の市区町村の役所、役場への提出(死亡診断書を添付)
(2)相続開始があったことを知った時から3か月以内
相続放棄ないし限定承認申述
(3)被相続人死亡があったことを知った日の翌日から4カ月以内
所得税、消費税の準確定申告、納税(申告、納税義務が発生する場合)
(4)被相続人死亡があったことを知った日の翌日から10カ月以内
相続税の申告、納税(申告、納税義務が発生する場合)
(5)相続開始及び遺留分を侵害する贈与等を知った時から1年
遺留分侵害額請求権の消滅時効期間(※)
(6)相続権侵害の事実を知った時から5年
相続回復請求権の消滅時効期間(※)
(7)相続開始の時から10年
遺留分侵害額請求権の除斥期間(※)
(8)相続開始の時から20年
相続回復請求権の除斥期間(※)
※消滅時効の場合、当事者の援用が必要で、時効の中断が認められておりますが、除斥期間の場合、当事者の援用は不要であり、中断が認められておりません。消滅時効期間が経過し、消滅時効が当事者に援用された場合、消滅時効にかかる権利は消滅します。除斥期間経過後は、除斥期間にかかる権利が消滅します。
執筆
福島県弁護士会(会津若松支部)所属
葵綜合法律事務所 弁護士 新田 周作